トラブルシューティング:乗用車

トラブルシューティング

ターボチャージャーを交換しても、エンジン及びターボチャージャー周辺部分に不具合が残っていると、せっかく取替えたターボも壊してしまいます。下記の項目を再度点検確認をして下さい。

車輪上の症状→ターボ外観上の症状①→ターボ外観上の症状②周辺器機の症状→不具合の要因・原因

オイル管理不足によるターボ不具合 オイル供給不良、油膜切れ

<オイル供給不良、油膜切れ>
エンジンからのオイル供給が不足したり、一時的な油膜切れによって、超高速(≒180,000rpm)で回転しているシャフトは瞬間的に高温(真っ赤)になりベアリングと焼付いてしまう、シャフトに焼が入った紫色(テンパーカラー)が残るのが特徴

油膜切れを起こす原因

  1. 給油パイプ、ユニオンボルトのスラッジによる詰まり(排気マニホールドの熱でパイプにスラッジ生成)
  2. ターボにオイルが充分行渡らない状態で急加速した(ターボ取付時) ※取り付け要領書参照下さい。
  3. エンジン油量不足、オイルストレーナー詰まり
  4. オイルポンプ不良による油圧低下
  5. 粗悪オイルの使用、粘度が合っていない

  • 正常なストレーナー

  • スラッジで目詰まりしている

  • オイル入口スラッジ詰まり

  • ユニオンボルト詰まり

事例1 オイル内異物混入

オイルの汚れや劣化、ゴミの混入があると、シャフトの軸受け部や、ジャーナルベアリング等にかじり傷が発生する。この傷が原因でジャーナルベアリングとシャフトとの間に油膜形成不良が生じ、ベアリングが異常摩耗してしまう。(ローターの旋回、ホイール干渉に至る)


  • ジャーナルベアリング齧り傷

  • シャフト部齧り傷

  • コンプレッサーホイール干渉傷

事例2 ターボへの給油不足

エンジンからのオイル供給が不足したり、一時的な油膜切れなどによって高速で回転しているシャフト部とジャーナルベアリングが高温になり、焼き付きを起こしてしまう。
シャフト部にテンパーカラー(紫の焼き色)が残るのが特徴です。


  • 金属の焼け色温度

事例3 ブリーザーからのオイル吸い込み

クランクケース内のオイルを含んだ「ブローバイガス」が、*オイルセパレーターやPCVで分離されず、ブリーザーホースを通ってターボ吸気側にオイルが廻ってきてしまう症状。特に始動時にオイルが固くなりやすい冬場は注意が必要である。
ターボからのオイル漏れと誤認されることが多い。*トラックバス
エンジンオイルが燃焼室で燃焼され、白煙が発生する。

オイル吸込みの原因

  1. ブローバイガスの過多
  2. PCVの詰まり
  3. オイルセパレーター、PCVのメンテナンス不良(トラックバス)
  • ブリーザーホースからターボ吸入側へ瞬時に、多量のオイルを吸込み、排気管から白煙、オイル漏れとなり、ひどい場合は燃焼室内でプラグがかぶり、出力不足の現象が発生します。ターボ給気ハウジングにオイルが溜まる(写真参照)、インタークーラーに多量のオイルが付着している場合は可能性大です。
    コンプレッサーハウジングに溜まったオイル

ブローバイ過多時の確認方法

白煙やコンプレッサーハウジングからのオイル漏れ時の確認事項

  1. ブリーザーからのオイル吸込みはありませんか?
    ※インタークーラーに多量のオイル付着が有る場合はブリーザーからのオイル吸込みの可能性大
  2. 取り付けてターボが高温になるまで走行試運転をしましたか?
    ※ターボは高温にならないと正常な機能を発揮しない
  3. マフラーに洩れたオイルが残っていてくすぶっていませんか?
    ※燃え尽きるまで走行して下さい
  4. 白煙、オイル漏れ以外に下記の症状が有りますか?
    ・出力不足 加速不良 異音
    ・シャフトのガタ大  シャフトが軽く廻らない 羽根の干渉
     他の症状が無い場合、ターボに異常が無い可能性が大
  5. アイドリング運転で注油口を外したら白煙が止まった又は注油口からブローバイガスが吹出て来る。
    上記症状が有る場合はブローバイが過大の可能性あり、エンジンを点検して下さい。ターボを交換しても解決はしない可能性が非常に高いです。

出力不良事例

※ターボチャージャーの構造上、給、排気の羽根が欠損、曲り、ハウジングに干渉等がなくて、指先で軽く廻る様であればターボ本体は正常と考えられます。この様な状態で加給圧が上がらず出力不足、加速不良の場合は、次の原因が考えられます。
<力不足、加速不良の原因>
アクチュエーターの圧力調整不良、作動不良、(過給圧が上がり過ぎた場合も燃料カットを起こし、加速不良になります)
排気バイパスバルブ(スイングバルブ)が固着 等で排気ガスが逃げてしまいブーストが上らない
エアークリーナー吸気ホース、パイプの詰りつぶれ ブーストホース、パイプからの圧力漏れ等
吸気側 リリーフバルブ 作動不良 エアー洩れ
ダイレクトイグニッション トラブル (電機系トラブル)

再発不具合とは・・・

せっかくリビルトターボに交換していただいたにもかかわらず、前回の交換理由と全く同じ現象がターボ内で起きてしまい、同じ不具合を繰り返す問題です。ターボチャージャー自体はエンジンに対する補機類であり、その性格上、エンジンコンディションやその他の補機類に動作、性能は依存しております。そのうち最も多い再発不具合が、前に上げさせていただいた、オイル管理不足による不具合です。
リビルトターボ販売の際は、交換理由を聞いていただき、できるだけエンジン、その他補機類周りのオイルラインの清掃をおすすめいたします。車種によっては、オイルクーラーなど、清掃及び交換が必要となります。
使用オイルにつきましては15W-40以上のオイルを推奨致します。
エンジンフラッシング剤を使ったフラッシングにつきましては、お勧めはしておりません。同等のエンジンオイルを使った洗浄をお勧めしております。


  • スラッジの堆積

ターボ各部品の症状

C1.吸入インペラが破損している場合

吸入側から何か異物を吸い込んだ可能性があります、吸気系点検。
吸気・排気のハウジングに異物が飛び込むと羽根が損傷を受けます。そのまま運転を続けるとローターがアンバランスによりベアリングの焼付き、シャフト折損にいたります。

取付前の確認

ターボのオイルドレンパイプ、インレットパイプ、ユニオンボルトのカーボン詰まり、汚れ、潰れ、異物の確認カーボンの付着(コーキング)している場合は、必ず交換して下さい。(パイプ、ユニオンボルトはセットで交換してください)
エアクリーナーとターボ間の配管内に異物の残留が無いか入念にご確認下さい。

取付時の確認

ターボオイル入口、出口部に純正ガスケットを使用して、液体パッキンは、使用しないで下さい。

取付後の確認

ターボ交換後のエンジンフラッシング、クリーニングはターボにスラッジが流入する可能性があるので行わないで下さい。

ターボ各部品の症状

C2.インペラを止めているナットがない

Aと同時に起きてるケースは特に給油系統点検をしてください。
欠落したナットがエアークリーナー、吸気パイプなどに残っています、取り除いてください(ナット吸い込みの場合クレームの対象になりません)

取付前の確認


取外したターボの吸入インペラを止めているナットが付いているか、必ず確認してください。無い場合はエアクリーナーか吸気パイプに残っていて、取替えたターボを壊します。 クレームの対象にはなりません。ターボ取付時にはこのリボンを外してください。

吸気側への異物飛込み原因


吸気インペラーへの異物飛び込み
  1. インペラ締め付けナットがエアクリーナー、吸気パイプに残っていて吸い込まれる。
  2. ターボ取付時に異物が入った、忘れたまま組み付けた(ワッシャ、ウェス等)

ターボ各部品の症状

D.排気側ホイルが破損している場合

エンジン側から異物(バルブの破片等・・・)が飛び込んだ可能性大。
吸気・排気のハウジングに異物が飛び込むと羽根が損傷を受けます。そのまま運転を続けるとローターがアンバランスによりベアリングの焼付き、シャフト折損にいたります。

取付前の確認


排気タービンへの異物飛び込み

PCVバルブの作動、詰まりの確認。

吸気側への異物飛込み原因


異物が残留

ターボのオイル入口、パイプ、ユニオンボルトにゴミが入らない様充分注意して下さい。

排気側ブレードがセラミックホイールの場合

セラミック破片が触媒までの間に残留している可能性が高い為、入念に確認して下さい。

排気側への異物飛込み原因

  1. エンジンの破損物(バルブ、リング等の破片)
  2. 排気マニホールドの異物飛込み原因

注意:
ターボの吸入インペラを止めているナットが付いているか、必ず確認してください。
無い場合はエアークリーナーか吸気パイプに残っていて、取り替えたターボを壊します。
クレームの対象にはなりません。

ターボ外観上の症状❷

E.エンジンのブローバイ圧がターボの内圧を上昇させて、オイル洩れを起こしている。

1.洩れたオイルがマフラーに残っていませんか?
オイルが燃え尽きるまで運転する
2.ターボのシャフトにガタが無く、手で軽く回りますか?
ターボの不具合の可能性少ない

簡易点検方法

  1. オイルの注油口、レベルゲージ、ブローバイホースを外すと白煙が消える
  2. アイドル運転時、注油口を外した状態で、注油口から外気を吸入していかない。(煙等を給油口に近づけると判る)

(1)又は、(2)の症状がある場合エンジンのブローバイ圧が高い可能性が有ります。 エンジンが正常であれば、ブローバイをインテークの負圧を利用して強制的にエンジンに吸込ませている為、クランクケースが、常時負圧状態に有り、ターボ内圧も負圧を保ち、オイルがターボから吹き出すことがありません。

考えられる原因

  1. ピストンリング、シリンダー及びパルプガイドの摩耗カジリ 燃焼ガスが過大に洩れる為、ブローパイを吸入しきれない。走行距離が多い車は注意。
  2. ブローバイホース、PCVバルブの詰まりブローバイが正常に吸入されない為、結果的にクランクケースの内圧を上げる。

ヘッドカバー(タペットカバー)のブローバイホース接続部の貫通確認

  • ヘッドカバー
  • ヘッドカバー裏側
PCV 動作確認

PCV下側よりエアーを流しても上側へエアーが抜けない

・ブレーキクリーナ等で清掃
・清掃しても作動しない場合、交換

エアークリーナー側ブローバイホース 取付部貫通確認

ホース取り付けコネクター裏側がスラッジ等で閉塞している場合があります。

・針金等で貫通を確認。
・閉塞状況であれば針金で突付いて異物除去、エアブロー

PCV取付部コネクター貫通確認

写真のように貫通すべき穴がスラッジ等で閉塞している場合があります。

・細い針金等で貫通を確認。
・閉塞状況であれば針金で突付いて異物除去、エアブロー

ターボ外観上の症状

F.羽根の曲がり


吸入側に柔らかい異物が侵入して損傷を受けた
コンプレッサーホイール

整備に使った布ウエスほか柔らかい物質は、コンプレッサーホイールのブレードを後方にねじ曲げる損傷を起こします

ターボ外観上の症状❷

G.外観すす付着

異音、加速不良等でターボを交換する場合、ターボ外観にすすが付着していると、排気洩れの可能性があります、必ずガスケットは新品を使用してください


  • 各締結部位、ホース、クランプ類
    の点検

車輪上の症状

異音、笛吹き音

ターボチャージャーは個々にターボ特有の周波数の高い音を出します。ターボの種類により又同じ型式のターボでも全て音の音程、大きさが違います。ターボの異常による音かを聞き分ける必要があります。
異常があって発する(異音)は次のことが考えられます。

  1. 空気及び排気ガスの配管つなぎ部分からの漏れによるビビリ音、笛吹き音
  2. 羽根とハウジングの干渉音
  3. 羽根の曲がりによる異常風切音
ブログ「ターボ便り」
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